SpreadJSは,Microsoft Excelのようなウィンドウ間のスプレッドシート参照をサポートしてません。たとえば,スプレッドシートからカットまたはコピーしたデータを別のスプレッドシートにペーストした場合,セルの属性やフォーミュラが完全には転写されませんでした。
19r4では,View Proエリア間のコピー/ペーストをサポートするため,独自のテクニックが実装されていました。具体的には,非表示のシートをスプレッドシートの最後に追加し,そこに擬似的なペーストをした後,シート全体をバイナリ形式でペーストボードに登録していました。ペーストのときはこのデータから非表示のシートを再現し,擬似的なコピーが実行されるようになっています。コピー/ペーストのたびにシート全体を複製するため,速度が低下しますが,純正のSpreadJSよりも高度なコピー/ペーストを実現していました。
19r5では,SpreadJSのアップデートにより,この回避策が使用できなくなったので,この仕組みも取り除かれています。r4のように高度なコピー/ペーストはできなくなりましたが,代わりにコピー/ペーストの処理速度が本来のものに戻りました。
他のアプリケーションによって開かれているなどの理由で,ロックされているファイルを19r7で削除・移動・リネームしようとした場合,プラットフォーム共通のエラーコードの5
が返されるようになりました。これは新しい仕様です。19r6以前は,操作の条件により,602
604
609
などのエラーコードが返されました。
Mac版でLOG EVENT
に4D debug message オプションを指定して出力したメッセージはコンソールの標準ログ(デバイス)に出力されます。コマンドが呼び出しているのはsyslog()
です。かつてすべてのデバッグメッセージはsystem.log に出力されましたが,現在はオペレーションシステムのコンポーネントがsystem.log にメッセージを出力することになっています。
LOG EVENT(Into 4D debug message; "¯\\_(⊙︿⊙)_//¯"; Error message)
https://support.apple.com/en-gb/guide/console/cnsl664be99a/1.1/mac/12.0
Write ProドキュメントをPDF形式でエクスポートした場合,ページに埋め込まれたSVG画像はプラットフォームの実装に応じて変換されます。これは仕様です。
Macには,SVGをPDFベクトル画像に変換するシステムAPIが存在するため,シャープで軽量な画像が出力されます。Windowsは,PDFのグラデーションなどがサポートされていないため,オリジナルのSVGを完全に再現することができません。そのような画像は,ラスタライズされた画像が出力されます。
Windowsでは,ドロップダウンメニューに表示された項目を矢印キーでハイライトするたびに値が確定されるため,escape キーでメニューをキャンセルしても,On Data Change イベントが発生します。これはシステムレベルの仕様です。
SCREEN COORDINATES
は,論理的な座標(ディスプレイのスケーリングを適用する前の値)を返します。高解像度ディスプレイの物理的なピクセル値(論理的な座標にした値)が返されるわけではありません。これは仕様です。下記のコマンドはいずれも論理的な座標を使用します。
OBJECT GET BEST SIZE
Menu bar height
Screen height
Screen width
Tool bar height
GET MOUSE
POST CLICK
POST EVENT
CONVERT COORDINATES
RESIZE FORM WINDOW
GET WINDOW RECT
SET WINDOW RECT
OBJECT GET SUBFORM CONTAINER SIZE
OBJECT GET SCROLL POSITION
OBJECT SET SCROLL POSITION
OBJECT GET COORDINATES
OBJECT SET COORDINATES
OBJECT MOVE
FORM SET SIZE
FORM GET PROPERTIES
SVG Find element ID by coordinates
SVG Find element IDs by rect
SVG SHOW ELEMENT
LISTBOX Get auto row height
LISTBOX GET CELL COORDINATES
LISTBOX GET CELL POSITION
LISTBOX Get column width
LISTBOX Get footers height
LISTBOX Get headers height
LISTBOX Get row height
LISTBOX Get rows height
LISTBOX SET AUTO ROW HEIGHT
LISTBOX SET COLUMN WIDTH
LISTBOX SET FOOTERS HEIGHT
LISTBOX SET ROW HEIGHT
LISTBOX SET ROWS HEIGHT
ODBC経由でサイズのおおきなBLOBをSybaseサーバーに送信しようとした場合,データが完全に書き込まれないことがあります。v19では,ODBC通信のパケットサイズをSQL SET OPTION
のSQL data chunk size オプションで増減できるようなりました。このオプションがサポートされていないバージョンの場合,16
進数データをテキスト形式で送信することで問題を回避できるかもしれません。