17r3は,v2004のストラクチャファイルを開くことができる最後のバージョンです。v17r4で開こうとすると「データベースストラクチャが無効です。バージョンが古すぎるか,ファイルを修復する必要があります」というエラーが返されます。これは仕様です。
Write Pro文書・画像・セクション・段落のボーダー(罫線)は,コンテキストメニュー,またはWP SET ATTRIBUTESとwk border style wk border widthの組み合わせで設定することができますが,テーブル全体や特定の行列のボーダーは設定することができません。これは仕様です。
ボーダーは,テーブル・行・列ではなく,セルの属性です。テーブル全体や特定の行列のボーダーする場合,下記のようにセルの集合を取得した上でWP SET ATTRIBUTESを使用します。
$table:=WP Get element by ID($wp;"t1")
$cells:=WP Table get cells($table;1;1;MAXLONG;MAXLONG)
WP SET ATTRIBUTES($cells;wk border style;wk none)
v16では,リスト型のサブフォームダブルクリックすると,FORM SET INPUTで指定した入力フォームに切り替わりましたが,v17では常にデフォルトの入力フォームが使用され,FORM SET INPUTで指定したフォームは使用されません。これは仕様です。以前の振る舞いはバグであり,意図的な設計によるものではありませんでした。サブフォームの内容は,OBJECT SET SUBFORMで明示的に切り替えることができます。
追記: ビルド237123以降,仕様が見直され,サブフォームに対してFORM SET INPUTが使用できるようになりました。(ACI0099331)
オブジェクト型のプロパティは,フィールドや従来の変数とは違い,タイプが固定されていません(「強い型付け」)。C_PICTUREで型が宣言されたピクチャ変数にNullを代入した場合,変数の内容がクリアされますが,型は変わりません(CLEAR VARIABLEまたはpicture:=picture*0と同じ)。対照的に,ピクチャ型のオブジェクトプロパティにNullを代入した場合,プロパティは0バイトのピクチャではなく,Nullになります。Write ProやORDAも同じ振る舞いになります。これは仕様です。
オブジェクト記法およびコレクション型がランゲージに追加されるまで,オブジェクト型の読み書きにはOBで名前が始まるコマンドが使用されていました。OBコマンドは廃止予定ではありませんが,オブジェクト記法(ドット記法とブラケット記法)をサポートしていないことに留意する必要があります。たとえば,下記の例で[Person]familyはオブジェクト型のフィールドですが,コードを実行するとエラーが返されます。これは仕様です。
OB SET ARRAY([Person]family.children[0];"ID";$IDs)
17r5では,テキスト(オブジェクト型やコレクション型のプロパティ値を含む)の比較と検索に使用されている International Components for Unicode, ICUライブラリがバージョン63にアップデートされる予定です。v16およびv17のライブラリバージョンは 56でした。ライブラリのアップデートに伴い,サポートされるUnicodeのバージョンも8から11に上がります。
Unicode 11では,66個の絵文字が追加され,5個のCJK(中日韓)統合漢字が追加されています。追加されたのは,新元素の中国語名に使用される3文字(下記)
| 原子番号 | 漢字 | 名称 |
|---|---|---|
| 118 | Og | オガネソン |
| 117 | Ts | テネシン |
| 113 | Nh | ニホニウム |

および独立行政法人情報処理推進機構の 文字情報基盤整備事業のリストに含まれている人名漢字等2文字です。

加えて,全角の数字ゼロ(FULLWIDTH DIGIT ZERO, U+FF10)に斜めの線が入ったバージョンが異体字として追加されています。(異体字セレクタVS1, FF10 FE00)
参考資料: http://www.unicode.org/versions/Unicode11.0.0/#Migration
Rリリースは,バージョンアップに相当しないので,17.xのアプリケーションはストラクチャやデータを変換することなく,17r5で開くことができます。しかし,17r5では,ICUライブラリがアップデートされているため,文字・テキスト・オブジェクト型フィールドの再インデックス構築が発生し,17.xまたは17r4で開きなおすと再々インデックス構築が発生することになります。検証のため,17r5と17.xを頻繁に行き来するのであれば,空のデータファイルまたはインデックスが外されたストラクチャをあらかじめ用意しておくと良いでしょう。
OBJECT GET BEST SIZEは,指定テキストを表示するために必要なオブジェクトの幅と高さ(最大幅を指定した場合)を計算するためのコマンドです。しかし,Windowsの場合,リストボックスのセルとテキスト入力エリア(変数またはフィールド)は,描画方法が違うため,一方のオブジェクトを用いて他方のベストオブジェクトサイズを正確に計算することはできないことに留意してください。これは仕様です。
テキスト入力エリアは, DirectWriteでレンダリングされているのに対し,リストボックスのセルは Windows GDIでレンダリングされています。