オブジェクト型のプロパティは,フィールドや従来の変数とは違い,タイプが固定されていません(「強い型付け」)。C_PICTURE
で型が宣言されたピクチャ変数にNull
を代入した場合,変数の内容がクリアされますが,型は変わりません(CLEAR VARIABLE
またはpicture:=picture*0
と同じ)。対照的に,ピクチャ型のオブジェクトプロパティにNull
を代入した場合,プロパティは0
バイトのピクチャではなく,Null
になります。Write ProやORDAも同じ振る舞いになります。これは仕様です。
オブジェクト記法およびコレクション型がランゲージに追加されるまで,オブジェクト型の読み書きにはOB
で名前が始まるコマンドが使用されていました。OB
コマンドは廃止予定ではありませんが,オブジェクト記法(ドット記法とブラケット記法)をサポートしていないことに留意する必要があります。たとえば,下記の例で[Person]family
はオブジェクト型のフィールドですが,コードを実行するとエラーが返されます。これは仕様です。
OB SET ARRAY([Person]family.children[0];"ID";$IDs)
17r5では,テキスト(オブジェクト型やコレクション型のプロパティ値を含む)の比較と検索に使用されている International Components for Unicode, ICUライブラリがバージョン63
にアップデートされる予定です。v16およびv17のライブラリバージョンは 56
でした。ライブラリのアップデートに伴い,サポートされるUnicodeのバージョンも8
から11
に上がります。
Unicode 11では,66
個の絵文字が追加され,5
個のCJK(中日韓)統合漢字が追加されています。追加されたのは,新元素の中国語名に使用される3
文字(下記)
原子番号 | 漢字 | 名称 |
---|---|---|
118 | Og | オガネソン |
117 | Ts | テネシン |
113 | Nh | ニホニウム |
および独立行政法人情報処理推進機構の 文字情報基盤整備事業のリストに含まれている人名漢字等2
文字です。
加えて,全角の数字ゼロ(FULLWIDTH DIGIT ZERO
, U+FF10
)に斜めの線が入ったバージョンが異体字として追加されています。(異体字セレクタVS1
, FF10 FE00
)
参考資料: http://www.unicode.org/versions/Unicode11.0.0/#Migration
Rリリースは,バージョンアップに相当しないので,17.xのアプリケーションはストラクチャやデータを変換することなく,17r5で開くことができます。しかし,17r5では,ICUライブラリがアップデートされているため,文字・テキスト・オブジェクト型フィールドの再インデックス構築が発生し,17.xまたは17r4で開きなおすと再々インデックス構築が発生することになります。検証のため,17r5と17.xを頻繁に行き来するのであれば,空のデータファイルまたはインデックスが外されたストラクチャをあらかじめ用意しておくと良いでしょう。