macOSは,ファイルやフォルダーのパスをPOSIX形式で管理しています。スラッシュ(/
)はフォルダー区切り記号として予約されているので,ファイルやフォルダーの名称に使用することはできません。ファイルやフォルダーのパスをHFS形式で管理するアプリケーション(Finder,32ビット版の4Dなど)は,スラッシュの使用が許されているような印象を与えますが,これはアプリケーションが自動的にスラッシュをコロン(:
)に変換し,HFSの区切り文字であるコロンをスラッシュに変換しているためです。
4Dの64ビット版は,Mac OSのレガシーなAPIではなく,macOSのPOSIX APIを全面的に使用しています。古いAPIの使用を中止し,標準的なAPIに移行したことは,アプリケーションを将来のOSアップデートに備えさせただけでなく,ファイルの読み書き速度と全体的なパフォーマンスの引き上げに役立ちました。一方,これまでのようにスラッシュ記号をファイルやフォルダーの名称に使用することはできません。
すでにスラッシュ(実体はコロン)が使用されているファイルやフォルダーのパスは,引き続き取得することができます。ただし,初期のリリースでは,下記のケースで問題があるかもしれません。
DOCUMENT LIST
およびSelect document
ファイル/フォルダー名の冒頭にあるスラッシュが省略されます(ACI0097745)
ファイル/フォルダー名の中間にあるスラッシュがコロンに変換され,区切り文字との見分けがつきません(ACI0098921)
Convert path POSIX to system
注記: Convert path POSIX to system
のドキュメントには,コマンドが絶対パスを受け入れると明記されており,相対パスを渡した場合の処理は定義されていません。振る舞いは仕様です。
4D Writeドキュメントには,フィールド・変数・メソッド・関数などのフォーミュラを挿入することができます。想定されているのは,カレントセレクションから差し込み文書を出力したり,日付や時刻などの文字列を動的に挿入することでしたが,文書にQUERY
を埋め込むことにより,ドキュメントの表示や印刷と同時にクエリが実行されるようにする,といった用途にも利用することができました。しかし,そのようなドキュメントを4D Write Proに変換した場合,フォーミュラが埋め込まれた箇所に「未定義」という文字列が表示されるかもしれません。
4D Write Proでは,セキュリティのルールが見直され,ドキュメントにコマンドを挿入できるコマンドや関数が限定されていますが,データベース設定で制限を解除すれば,これまでどおりQUERY
も挿入することができます。
参考:4D Write Pro ドキュメントに含める式の制限
QUERY
は値を返す関数ではなく,コマンドなので,実行後,ドキュメントには「未定義」という文字列が挿入されます。仕様どおりの動作ではありますが,4D Writeからのスムーズな移行をサポートするため,値を返さないフォーミュラは空の文字列として評価される,という仕様に改定されました。改定のビルド番号は,リリースノートで確認してください。
v16でリニューアルされた64ビット版のキャッシュマネージャーは,オペレーションシステムのメモリ管理を積極的に活用しています。オブジェクト型のローカル変数に収容されていたオブジェクトは,メソッドを終了し,その変数が破棄されるときに解放されます。オペレーションシステムのメモリマネージャーは,解放されたばかりメモリを別のオブジェクトに割り当てるためにしばらく保持することがあるので,ランタイムエクスプローラーに表示される使用中の物理メモリサイズがすぐには減らないとしても,必ずしもメモリーリークの証拠ではありません。
デスクトップ版のWindows 10には,電力を節約するための設定(電源とスリープの設定/追加の電源設定)が用意されており,デフォルトの電源プランは,「バランス」となっています。サーバー版のWindows 2008-2016もそうです。「バランス」電源プランが有効されている場合,4D Serverは最高でも30-50%ほどのパフォーマンスに抑えられます。5%程度まで低下することもあります。対照的に,プランを「高パフォーマンス」に設定すれば,CPUの能力を常に100%発揮することができ,バックアップに要する時間やシーケンシャルクエリの速度が明らかに向上します。
slow-performance-on-windows-server-when-using-the-balanced-power-plan
省電力設定が有効になると,CPUはクロック周波数が引き下げられ,ある程度の時間,ある程度のリクエストが続かない限り,ずっと低速モードで動作します。CPUだけでなく,USBポートやネットワークインタフェースも省エネルギーモードに切り替わったり,スリープ状態になることさえあるかもしれません。「バランス」のような省電力指向の電源プランでデータベースを運用することには,あまりメリットがないようです。
WP New
には,4D Write Proや4D Writeで作成した文書だけでなく,4Dのスタイル付きテキスト(4D HTMLソーステキスト)も渡すことができますが,HTML全般のインポートが保証されているわけではないことに留意する必要があります。コマンドがサポートしているのはXHTML,つまり,XMLに準拠したHTMLだけです。XMLのルールに沿っていないHTMLは,インポートできないかもしれません。
たとえば,HTMLでは,a
タグのsrc
属性に&
のような文字がそのまま記述されていることがあります。XMLのシンタックスによれば,属性値は&
のようにエスケープされているべきなので,そのようなHTMLはWP New
でインポートすることができません。これは,4D Write Pro(XHTML)の仕様です。