現在ベータ版が公開されているフィーチャーリリース(v20 R2)は,Windows Server 2012 R2プラットフォーム非対応となります。当該バージョンでは,統合Webエリアが使用しているCEF (Chrome Embedded Foundation) のアップデートとセキュリティ強化が反映されており,2012 R2で起動するとDiscardVirtualMemory
エントリーポイントがみつからない,というエラーメッセージが表示されます。
Windows Server 2012 R2のサポート終了日が近づいているため,今後,4D v20は,CertifiedではなくCompatibleレベルでWindows Server 2012 R2対応となります。
v20のCONFIRM
ダイアログのOKおよびキャンセルボタンは,フォーカスできるように設定されています。これは仕様です。過去のバージョンでは,これらのボタンにフォーカスを移動することができませんでした。
バイナリモードでは,これらのボタンに「フォーカス可」「タブ不可」「フォーカスの四角を隠す」が設定されていました。プロジェクトモードには「タブ不可」「フォーカスの四角を隠す」プロパティが存在しません。OKおよびキャンセルボタンには,キーボードショートカットの Escape および Enter/Return がそれぞれ設定されていますが,タブ移動ができるようになったので,フォーカスされているボタンをスペースバーでクリックすることもできます。
分離ポップアップメニューが設定されているツールバーボタンの最適サイズは,ボタンピクチャーと分離メニューの幅で決まります。たとえば,状態の数が4
のボタンに16x64
のピクチャーを設定した場合,OBJECT GET BEST SIZE
はmacOSでは34
Windowsでは22
を返します。過去バージョンでは画像の幅(16
)が最適サイズとして返されました。つまり,分離ポップアップメニューの幅が最適サイズの計算に含まれていませんでしたが,それは間違いでした。
テキスト型およびオブジェクト型のインデックスは,データベース言語に対応するICUライブラリのコレーションに基づいて構築されます。
キーワードインデックスは,データベース言語が日本語の場合,MeCabライブラリがインストールされていれば,形態素分解を利用した独自のアルゴリズムに基づいて構築されます。MeCabライブラリは,日本語版の4Dにプリインストールされています。MeCabライブラリがインストールされていない場合,あるいはデータベース言語が日本語以外であれば,ICUライブラリのバウンダリ解析に基づいて構築されます。データベース設定で「非文字・非数字のみをキーワード区切り文字とする」が有効にされていれば,ICUライブラリのIsAlnum
属性に基づいて構築されます。
インデックス構築には,①データベース言語,②MeCabライブラリの有無,③データベース設定が関係しています。データベース言語を変更したり,データベース設定で「非文字・非数字のみをキーワード区切り文字とする」を切り替えたりした場合,インデックスの再構築が必要になるかもしれません。再構築の必要性は,通常,アプリケーションによって自動的に判定されます。
MeCabモードで日本語のキーワードインデックスを作成した後,MeCabがインストールされていない環境でデータベースを開いた場合,本来であれば,インデックスの再構築が必要ですが,レアケースということもあり,自動的にはインデックスの再構築が発生しません。必要に応じ,マニュアル操作でキーワードインデックスを更新する必要があります。PAUSE INDEXES
(RESUME INDEXES
せずに再起動した場合,自動的にインデックスが再構築される)を活用できるかもしれません。これは仕様です。
macOSのCEF版Webエリアは,YubiKey などのWebAuthn/FIDO2認証ダイアログがサポートされていません。また,システム版Webエリア(WKWebView)の回避策にも問題があるようです。
WKWebView and WebAuthn seems broken in iOS 15.4. Did something change?
Under the Hood of WebAuthn in Safari
Supporting U2F or FIDO2 Security Keys on iOS or iPadOS FAQ
現時点でMac版のWebエリアをブラウザ代わりに WebAuthn のインタフェースとして使用することは無理なのかもしれません。
PDF Creator ドライバーの印刷設定をBLOB to print settings
で保存した場合,プライベート領域に独自のバイナリデータが記録されます。そのような印刷設定を他社のプリントドライバー,たとえば京セラの KX DRIVER for Universal Printing プリントドライバーに適用した場合,プリントドライバーがクラッシュするかもしれません。4Dはドライバーのクラッシュを防止することができないので注意してください。
データベース設定でコンパイルパスを「ローカル変数のみ自動定義させる」または「すべて自動定義させる」に設定した場合,コンパイル時間を短縮するため,宣言コマンドに渡されたポインターの逆参照がチェックされないことに留意してください。コンパイルパスを「すべて定義させる」に設定した場合には出力される下記の警告も検出されません。これは仕様です。
配列定義コマンド中にポインターが存在します。 (518.5)
v20では,ACI0103964の修正に伴い,Open form window
の振る舞いが調整されました。
過去のバージョンでは,コマンドで表示したフォームに入力オブジェクトが配置されていた場合,そのデータソース(変数または式)が評価されました。ウィンドウサイズを正しく計算するためには,フォームオブジェクトの位置やサイズを解析する必要があり,入力オブジェクトであれば,データソースの型を知る必要があるためです。
とはいえ,ウィンドウを描画する時点でデータソースが評価されることは想定されていないかもしれません。たとえば,Form
などのオブジェクトが存在する前提のメソッドはエラーを返すことになります。修正により,入力オブジェクトのサイズはデータソースを評価することによってではなく,式の型(dataSourceTypeHint
)を参照することによって決まるように仕様が見直されました。今後,式の型が正しく設定されていない場合,ウィンドウサイズが変わってしまう可能性があります。一例として,ピクチャー型の入力オブジェクトはテキスト型とはボーダーのデザインが違っているため,正しくレンダリングされるためには,式の型もピクチャーに設定されている必要があります。
過去バージョンで作成されたフォームとインタフェースの一貫性を保つため,Mac版では高さが22
を超えるプッシュボタンのスタイルがベベルに切り替わります。システム側でサイズが指定されているそれぞれのプッシュボタンとは違い,ベベルスタイルは高さに制約がないためです。macOS 11には,デフォルトボタンまたはプッシュしている間(トラッキング中)にベベルボタンがハイライトカラーに変化しない不具合があります。この問題はmacOS 12および13で修正されているようです。Macでおおきなボタンを表示したい場合,プッシュボタンの高さを21
か22
程度を上限にするか,別のボタンスタイルを使用することが勧められています。