19r6では,プロジェクトフォルダーを共有することにより,リモートクライアントからデザインモードにアクセスできるようになりました。これは18r4でサーバーと同じマシン上で起動した4D Remote(ローカルクライアント)であればデザインモードにアクセスできる仕組みを拡張するものです。
プロジェクトモードでは,構造的なバイナリファイルであるストラクチャファイルではなく,標準テキストファイルの集合を扱います。チーム開発においては,Gitのようなバージョン管理システムを併用することが想定されています。Gitワークフローは,4Dに限らず,多くの開発チームで採用されています。バージョン管理システムを活用することにより,アジャイル開発に則ったリリースや継続的なメンテナンス(CI/CD)を実施することができます。外部コードエディターを利用することもできます。
バイナリモードに慣れたデベロッパーの中には,こうしたことをメリットとは考えず,クライアントで同時開発ができないのであれば,プロジェクトモードに移行することはできない,という意見が挙がりました。今回の新機能はそうしたニーズに応えるものです。
開発部は,Gitのようなバージョン管理システムを推奨しています。プロジェクトモードは,そのような開発スタイルを想定したアーキテクチャだからです。とはいえ,デベロッパーが望むのであれば,さらにプロジェクトモードに切り替えることが容易になるのであれば,ファイル共有を利用した簡易的なシステムがあっても良い,と判断しました。
インタープリター版のプロジェクトに開発モードで”接続”した場合,メソッドエディター・フォームエディター・ツールボックスなどの排他的ロックは,オペレーションシステムではなく,4D Serverと4D Remoteの間で管理されることになります。そのため,外部エディターで同時にソースコードを編集することはできません。この場合,サーバーに接続することは,クライアント側のファイルシステム上で共有フォルダーの場所を指定する行為を指します。例外は,サーバーと同じマシンで起動したローカルクライアントで,その場合,開発モードではなく,従来の要領でサーバーに接続します。
クライアント側でメソッド・フォーム・ストラクチャ・データベース設定・ドキュメンテーション・ユーザー/グループ・メニュー・ヘルプTips・リスト・フィルター・スタイルシートなどを更新すると,サーバーに通知が送信され,プロジェクトがリロードされます。実行中のメソッドやフォームは,閉じられた後に更新されます。フォームやメソッドはファイル単位でロックされます。ツールボックスはページ単位でロックされます。データベース設定は全体がロックされます。コンパイルを実行できるのは1度に1台のマシンだけです。
下記のコマンドはバイナリモードと同じ要領で使用できます。
下記のコマンドは対象メソッドがロックされていなければ成功し,ロックされていればエラーを返します。
開発モードで接続したという情報は .4DLink ファイルに反映されます。その場合,プロジェクト名にはサーバーの公開名とアドレスに “(development mode)” という文字列が追加されます。
フォルダー共有は,Windows/macOSそれぞれのオペレーションシステムが提供する基本的な仕組み(AFP, SMB/CIFS)を使用することができます。アクセス速度が問題であれば,NAS(Network Attached Storage)の導入を検討すると良いかもしれません。