4Dのコンパイラーは,64
ビット整数をサポートしていません。SQLはコンパイルの対象外であるため,例外的に64
ビット整数型フィールドが扱えます。64
ビット整数型のコンパイルをサポートするためには,コンパイラーの全面的な書き換えが必要となり,これには2ないし5年の歳月がかかると想定されています。現時点で64
ビット整数型のサポートは計画されていません。
バリアント型やオブジェクト型は,マクロ(プリプロセッサ)によって展開される擬似的なデータ型なので,コンパイラーを全面的に書き換えることなく,比較的短期間でランゲージに追加することができました。オブジェクト記法も同様です。
PostgreSQLなど,64
ビット整数型のプライマリーキーを使用するような外部システムと連携する場合,32
ビット整数型のフィールドでは同期ができない,という問題に直面します。プライマリーキーは,基本的にシーケンス番号であり,実際に64
ビット整数の最大値(符号付きで9,223,372,036,854,775,807
=922京3372兆368億5477万5807)まで使用することはないとはいえ,32
ビット整数の最大値(2,147,483,647
=21億4748万3647)では足りなくなる恐れがあります。
そのようなわけで,19r6では,実数型を53
ビット整数として使用できるようになりました。
Support of larger integers than integer32
4Dの実数型はIEEE 754準拠の倍精度浮動小数点数であり,符号1
・仮数52
・指数11
の64
ビット(8
バイト)で成り立っています。53
ビットあれば,MAX_SAFE_INTEGERつまり9,007,199,254,740,991
=9007兆1992億5474万991までの整数を安全に,つまり誤差を生じさせることなく,加算や現在ができます。
これまでのバージョンでは,おおきな実数を文字列に変換すると12
桁の指数表現になり,整数であれば精度が失われました。19r6では,IEEE 754に変換しても精度が失われない整数(15
から17
桁)を収めた実数は,整数のまま文字列に変換されるよう仕様が見直されています。JSON・XMLドキュメントの実数⇆文字列変換は,整数は整数のまま出力されるようになりました。そのような整数をメソッドエディターに入力した場合,指数表現には変換されず,整数は整数のままトークナイズされるようになりました。