4D Write Proは,印刷バックエンドにDirect2Dテクノロジーを使用しています。.emf
イメージのレンダリングには,GDIコンテキストが必要なため,Write Proでは印刷することができません。これは仕様です。ベクター画像をドキュメントに挿入したい場合,旧来の.emf
形式ではなく,標準的な.svg
形式を使用してください。
Microsoftは,画面と印刷でレンダリングが一致することを謳っていません。それは歴史的にAppleが強いとされる分野であり,グラフィック関係者がMacを選択する理由のひとつでした。Windowsは,基本的に画面と印刷ではまったく違う処理をしています。
v12以前のWindows版4Dは,画面と印刷の両方にAlturaライブラリを使用していました。Alturaは,Macのエミュレーションであり,Windows本来の96 DPIではなく,72 DPIの描画をします。画面と印刷の差は少なかったかもしれませんが,ネイティブ描画ではなく,Windows版の出力は必ずしも理想的とはいえないものでした。
v13以降のWindows版4Dは,画面にDirectXを採用するようになりました。ハードウェアアクセラレーターを使用した高速なレンダリングであり,全体的に従来よりも美しい出力が可能になっています。一方,印刷には,当時のプリンタードライバーで主流だったGDIが使用されています。このコンビネーションでは,画面と印刷でかなりの差があったかもしれません。
v17のWindows 64ビット版は,画面と印刷の両方にDirectXを使用しています。画面と印刷の差は再び縮まったと思われますが,Macとは違い,システムレベルで一致が保証されているわけではありません。
SET PRINT OPTION
のLegacy printing layer option
を使用すれば,強制的に以前(32ビット版)のGDIエンジンで印刷を実行することができます。v13に近い出力が得られるかもしれませんが,画面と印刷の違いは,プリンタードライバーに依存します。たとえば,Microsoft Print to PDF driverは,DirectX用に設計されており,GDIモードのサポートは貧弱です。反対に,GDIのほうが「高品質な」PDFドライバーもあります。いずれにしても,GDIモードの印刷は,互換性のために提供されているオプションであり,長期的に保証できるものではないため,使用はできる限り控えるようにしてください。